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by benren

外国人研修・技能実習制度の問題点  

1 研修生に労働関係諸法令の適用がないこと
研修生に労働関係諸法令の適用がないことを直接規定した法律はないが,入管法が「研修生」の在留資格に就労を認めていないため,研修生は労働者ではない,と扱われることが多い。
もっとも,厚生労働省通達は,「実態によっては労働基準法上の労働者に該当することとなる場合も生じる」(平成5年10月6日基発592号)として,研修生にも労働基準法の適用の余地があることを認めている。

2 研修生・技能実習生を保護する法律がないこと
法律は,在留資格として入管法に定めがあるのみ。実際の運用は省庁の告示や指針等に委ねられている。
5省庁(外務,法務,厚生労働,経済産業,国土交通)の共管による,財団法人国際研修協力機構(JITCO)が受け入れ支援等を行っているが,現状は天下り団体で,受け入れ団体の管理は不十分と言わざるを得ない。
研修生保護に関しては,法務省入国管理局「研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針」(平成19年12月改定)に規定されているが,違反の制裁がない。
入管から不正行為認定がなされれば,受け入れ機関は受け入れ停止処分を受けるが,あくまで事後的な措置に過ぎない。なお,不正行為認定機関は,H15年の92件から,H19年には449件に急増している。

3 送り出し機関を取り締まる法律がないこと
(1)送り出し機関との不合理な契約の存在
ア 多額の保証金
研修生は,本国の送り出し機関に多額(年収の1~3倍程度)の手数料や保証金を払っており,研修生の多くが借金をして工面したり,親戚が保証人になったりしている。また,家を担保に取られている者も多い。
イ 違約金条項
3年間の実習を満了せずに帰国した場合には,保証金を没収されたり,違約金を支払わされたりするなどの,違約金条項が定められていることが多い。
この他に,日本で政治活動,労働活動(労働組合への加入を含む),裁判(弁護士との接触を含む),報道機関への接触などをした場合にも,違約金が課せられるという条項が入っている場合が多い。
ウ 強制貯金の返還
研修生・技能実習生の給料から天引きした強制貯金を,3年の実習が満了して帰国した際に,受け入れ機関から送り出し機関に送金し,本国で(本人又は家族が)受け取ることになっているケースが多い。
そのため,3年の実習を満了せずに帰国した場合や,日本で過酷な労働に耐えきれず日本国内で逃げだした場合には,強制貯金が支払われないことになる。

(2)強制帰国・違約金の恐怖
研修生たちは,送り出し機関と上述のような契約を結ばされているため,研修生たちは,強制帰国や違約金の制裁を恐れて,声を上げることができない。実際に,本国の家族の説得があって提訴を断念したケースも生じている。
受け入れ機関は,研修生たちの旅券を管理しているため,いつでも本国に送り返すことができる。

4 団体監理型の問題点
研修・技能実習制度の9割が,中小零細企業によって受け入れられている。当然,労働力として期待されており,制度の理念との矛盾がある。
研修生・技能実習生に対する人権侵害は,多くが団体監理型の受け入れで起こっている。

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by benren | 2011-07-10 12:26 | 制度の問題点